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(2)季節の太陽の設計
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zeronext project の詳細をお伝えする連載シリーズ。
第2回目のテーマは、「陽射しのコントロール」。

傾いた地球の地軸がもたらす、太陽軌道の変化と季節のうつろい。
このことを考慮し基本設計に生かしていくことは、どんなハイスペックな設備や断熱材に依存するよりも、ずっと大切なこと。
人が自然を抑えつけて、強制的に快適な温熱環境をつくり出すのではなく、人が自然を理解して、共生的に暮らしていくことの方が本来であり、これからの家づくりの、進むべき方向だと考えます。
それでは、その手段となる零の設計をご紹介していきましょう。
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窓は家の急所である。どんなにハイスペックな窓を用いても断熱性は格段に落ちるし、プライバシー的にも欠点となりやすい。
しかし、窓は太陽の光や風を取り込み、外と内をつなげる重要な装置であるのも事実。
そこには最小限の窓面積で最大限の効果を得るために自然から学ぶ技術と工夫が必要とされる。
設計の質が問われる重要な
所。

軒の出30~45cmの「一般的な建物」

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一般的な建物は、軒の出は30から45cm程度。最近の建物の中には、軒の出が全くない四角い建物もよく見かける。こうした建物は、明るく開放的なイメージがあるが、夏の強い陽射しを遮ってくれるものが何もなく、結果的には窓を締めきり、カーテンを引いて、エアコンをかけるといった、閉鎖的な暮らし方になってしまいがちだ。冬の陽射しに関しては、多く取り込むことが出来るだろう。
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軒の出90~120cmの「零の家」

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零の建物の多くは、軒の出が90から120cm。この深い軒の出が、夏の強い陽射しを遮ってくれる。2階のバルコニーも、1階に入る陽射しを制御する機能を持っている。冬の貴重な太陽の光は高度が低いため、軒の出やバルコニーに遮られることなく、室内の奥まで入り込むので心配はない。
もうひとつの特徴は、南側に設けられた吹き抜けスペースの縦の繋がりだ。この吹き抜けを通して、深い軒で遮られなかった冬の陽射しが、さらに奥まで降り注ぐのだ。四季を通して快適な住空間をつくるための、設計による工夫なのだ。
技術の部屋「軒の出と吹抜け」も
ご参照下さい。
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さらに深い透明な軒の出の「zeronext」

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今回のチャレンジは、日射制御機能の確保と、バルコニーとウッドデッキスペースを含めた室内空間の広がりとの両立。ただ単に、軒の出を深くし、ウッドデッキを延ばしてしまうことは、冬の貴重な陽射しまでも遮ってしまうことになりかねない。そこで、この建物では、屋根とバルコニーの一部を陽射しを通す透明な素材のもので伸ばすことによって、解決を図る。
さらに、自然と仲良く暮らすための、次への一歩と言えよう。
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 <室内から見た陽射しのイメージ> 
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深い軒の出とバルコニーのおかげで、
夏の強い陽射しは室内には入ってこない
冬の低い太陽は遮られることなく、
やさしく部屋の奥まで降り注ぐ

 <参考図面> < 模型によるイメージ>
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 太陽の動きを知る

太陽の動きを考えるとき、忘れてはいけないのが、三次元での視点だ。右のイラストを見ていただけると、 平面でのビジュアルや言葉だけでは、なかなか伝えにくい、太陽の動きがご理解いただけると思う。
ちなみに、仙台での最高太陽高度は、夏至で75度、冬至では、28度となる。
しかし、それは最高高度であって、常にその高度を維持するわけではない。
次に、この立体図を、あえて平面で表現してみることにする。
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 夏至の太陽と冬至の太陽の動きを比較してみる。図の上の半円が、太陽の動きを平面で表したもので、下が立面で表したものだ。横軸を一日の時間軸とし、それぞれに夏至と冬至の太陽の動きをイメージとして記した。夏の太陽は“広く高く”、冬の太陽は“狭く低く”動いているのがわかっていただけるだろうか。
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 【夏至の太陽】
夏の太陽の動きは、“広くて高い”
これまでは、高さの観点からのみ日射を検討し、軒の出やバルコニーを用いた工夫を紹介してきたわけだが、考えるべきことは高さだけではなく、水平方向での角度の検討も重要だ。夏の太陽は、東西にも深く動き、夏の朝・夕は高さの低い陽射しが、建物の横から照りつける。zeronextでは、この課題にも取り組んだ。
【冬至の太陽】
冬の太陽の動きは、間口が狭く低い。
この季節の陽射しは、とても貴重であるため、可能な限り室内に取り込みたい。
深いながらも軒やバルコニーに干渉されない
設計が、これに応えている。


横から照りつける夏の陽射しと、じょうずに付き合う
 この建物には、東西の側面に杉のルーバーが設けられている。その目的のひとつが、東側の隣家と、西側の道路からの目線をやわらかく遮断する目隠しだ。
そしてふたつ目は、夏の朝夕に横から差し込む低い陽射しに対応するためであり、このルーバーによって、室内に侵入しようとする強い陽射しを緩和する。こうすることによって、夏場の室内の温熱環境を、整えてくれるのだ。冬の貴重な陽射しは先述のように低く狭いので影響はない。
そして、もうひとつ書き加えるなら、機能から生まれたこうした工夫を、デザインとしてもしっかりと生かし、家をかたち作るということも、設計における大事な技術だ。

 
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(← 写真) 
4寸角の杉の角材を1尺ピッチで立てていく。この太さと間隔も、陽射しを穏やかに遮断することに一役買っている。いわば角材のブラインドだ
 
空調に頼って窓を閉めて生活するのか、風を感じながら開放的に生活するのか。
このように、設計的アプローチは、その内容次第で、家の温熱環境に大きく貢献すると同時に、
住まう家族の暮らし方や考え方・価値観にまで影響を及ぼすと言っても
過言ではない。
ハイスペックな機械や断熱材も大事だが、まずは自然を知り、太陽と風を考え、
上手に付き合っていくことが求められているのではないだろうか。

機能だけでなく、軒の深い家は表情が豊かで美しい。


 
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