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(3)そよ風と太陽


zeronext project の詳細をお伝えする連載シリーズ。
第3回目のテーマは、「次世代ソーラーシステム そよ風」。

前回取り上げた「窓と太陽との関係」は、いわば「迎える太陽と、遮る太陽」といった受動的なスタンスでの設計的工夫の話。
それに対して今回のテーマは、より積極的・能動的に太陽に働きかけ、自然と共生しながら「取り込む太陽と、逃がす太陽」をコントロールし活かしていこうというものです。
健康的で快適な温熱環境を考える時、そこには、温度だけでは計りきれない「気持ちの良い空気の質」の存在が見えてきます。
 

次世代ソーラーシステム《そよ風》のシンプルなメカニズム

太陽熱や夜間の放射冷却を利用して屋外の新鮮な空気を暖めたり、冷やしたりして室内に導入するこのシステムは、環境に負荷を与えず、朝夕の温度差を少なくし、冬は暖かく、夏は涼しく、年間を通じて穏やかな温熱環境をつくる人にやさしいシステムだと言える。
まずは、そのメカニズムを紹介していこう。
イラストを用いてzeronext prpjectでの設置を例に、冬の日中のメカニズムを紹介する。
①南側外壁下部より取り入れられた外部の新鮮な空気は、南側外壁面で暖められながら
ドラフト効果により上昇。
②南側外壁面から屋根面に取り入れられた空気は南側屋根面でさらに暖められる。
③暖かくなった棟の空気は、棟から室内へと取り込まれる。
④暖かい空気は室内のダクトを通り床下へ。
⑤床下のコンクリートを温めながら
⑥室内に送り出される。 といった具合だ。
また、床を経由せず、直接室内に暖かい空気を取り入れたいときは、床上のダンパーを開けて直接取り入れることも可能だ。

太陽高度の低い冬は、屋根面より南側壁面の方が集熱効果は高いのだが、通常の空気集熱方式では屋根のみ(あるいは壁のみ)の方式が多い。しかし、zeronext projectでは、その両方を利用することにより、より高い効率で太陽熱を取り込む計画だ。通常屋根から取り入れる外部の新鮮な空気を、外壁の下のほうから取り入れることや、2階部分の外壁材と屋根材を集熱効果と気密性の高い素材や色にしていることも、そうした理由からだ。ちなみに、その素材とは、外壁が、ガルバリウム鋼鈑(立平ロック)で、屋根がガルバリウム鋼板(S&W葺き)で、カラーは共に耐摩ブラックを採用した。
次に、そよ風のメカニズムを一般的な例をあげて紹介しよう。

以下は、「環境創機」ホームページ引用

   
【温風取入運転】 
冬の朝、日射があり棟温度が28℃以上になると、ダンパーが開き,取込ファンがまわり、温風の取込みがはじまります。 同時に床下に蓄熱をします。そして、トイレを含め家の 隅々まで暖かくなります。
夜は、蓄熱層の放熱で室温を保ちます。
【暖房循環運転】 
昼間日射がなく寒いときや、夜間に蓄熱が足りないときに、 ストーブを焚いて循環運転をさせると、ストーブの熱を家中  に広げることができます。 一部の床だけを暖める床暖房とは違い、家中が快適です。 薪ストーブ、温水ボイラー等いずれの熱源でも機能します。 温水ボイラーでは、室温は自動制御となります。


 
 

【排気・冷風循環運転】 
夏の日中、屋根は高温になります。図は、上昇気流の原理で温風が棟まで昇り、屋根の上で自然 排気されている様子です。ダンパー板は、屋内側を閉じて、屋根の排気熱は屋内には入りません。 そのうえに、採熱板は高温の屋根の熱が屋内側に進入するのを防ぐ遮熱の効果もあります。 
《そよ風》は、夏に暑くないソーラーシステムです。大きな屋根では排気ファンを使い、強制排気も選べます。 図は、夏の日中に屋根の上では排気をしている時に、屋内 では冷風循環運転がされている様子です。 
【涼風取入運転】
夏の夜、金属屋根は冷たくなります。これは放射冷却現象と言われるものです。 
夏の朝、外の車の屋根にびっしりと露がついているのは、この 放射冷却現象により金属製の車の屋根がまわりの空気より、はるかに冷たくなり、大きな温度差が生じて結露が発生したのです。《そよ風》は、夏の夜にはこの現象を利用して、冷たく なった金属屋根の裏側の涼風を屋内に取込みます。採熱板のはたらきで、より涼しい風が得られす。 
《そよ風》の家は、夏の夜は冷たさの蓄熱をします。朝になると、高原のさわやかさを感じることができます。図は、ダンパー板が外気を塞ぎ、涼風を取込んでいる様子です。 
《そよ風》は、涼しさもつくるシステムです。


 


 


 
 

 (そよ風パンフレットより参考写真を引用)
   
 
《そよ風》は“アクティブ”か“パッシブ”か

太陽熱を利用するシステムには、アクティブソーラーとパッシブソーラーの二つの形態がある。
広義において、アクティブとは、機械や動力を用いて積極的に自然エネルギーを利用しようとするもので、パッシブとは、それらに頼らず、建築のデザインの工夫で自然エネルギーを利用していこうとするものである。
冬の日中に暖められた空気を床下まで送り込むために「吸気ファン」を回すことや、夏の日中に屋根の熱い空気を「排気ファン」を使い逃がしてやることを考えると、“そよ風”は、アクティブソーラーシステムに分類することができるだろう。

 
 
ただ狭義において、太陽光発電や太陽光温水器などをアクティブソーラーと位置づける場合、太陽の熱を他のエネルギーに変換することなく、空気を媒体として熱をそのまま利用するシステムを、パッシブソーラーと呼ぶことも多いようだ。そういう意味では、“そよ風”は、パッシブであるとも解釈できる。

いずれにしても、もともとパッシブソーラーハウスである零の家が、より積極的に太陽と向き合おうとするのが、この 「zeronext project」での取り組みなのだ。
 

全天日射を検証する
ここまでは《そよ風》のメカニズムや特徴についてご紹介してきたわけだが、ここでちょっと足元を確認してみよう。つまり、太陽の日照、熱量について検証することが必要だと思うわけだ。
上の表は、気象庁のホームページから「全天日射」についてのデータを抽出し、今回のためにまとめ直したものだ。

「全天日射」とは、簡単に言うと、「太陽からの光エネルギーを熱量に変換したもの」である。
太陽の日射エネルギーは、「直達日射」と「天空日射」に大別されるが、前者が太陽の直射によるエネルギーであるのに対し、後者は大気中の水蒸気や塵埃、空気等の分子による散乱光である青空からの放射エネルギーだ。そして「直達日射」と「天空日射」を足したものが「全天日射」となる。※単位は、MJ/m2 (メガジュール/平米)

この表から読み取れる仙台の気候の特徴は、
①冬期における数値が比較的高く
②夏期における数値が比較的低い
という点であり、特に東北の他県と比較してもらえると、その特徴が分かるだろう。
仙台に住まわれている方が実感として感じている住みやすさが、数値にも表れているのだ。
このことからも、仙台エリアでは、強制的に冷暖房により温熱環境を整えるといった暮らしではなく、《そよ風》のような自然と共生した温熱環境により適しており、その効果を充分得ることのできる条件が揃っている地域だと言ってよいのではないだろうか。
 


《そよ風》の7つの特徴 ~パンフレットより~

システムが
シンプルで、リーズナブル

《そよ風》の部材は、たいへんシンプルにできています。かさばらず小屋裏空間が広く利用できます。また家の規模によって、機材・部材の組み合わせを変えることができるため、費用もたいへん経済的です。

設置計画や施工が簡単 


《そよ風》は、小型軽量部材の組み合わせによって構成されているため、配置計画や施工が簡単です。初めての工務店でも安心して施工できます。
メンテナンス・機材交換が簡単
単純だが、工夫を凝らした機材設計により、メンテナンスや機材交換が簡単です。
夏に室内が暑くならない
従来の空気集熱式ソーラーシステムでは、夏の排気を屋内にあるファンボックスを通して行なうため、夏に室内が暑くなります。《そよ風》は、夏に日中の排気を屋根の上で行なうため、夏季、室内が暑くなることがありません。小屋裏も部屋として利用することができます。
家中の温度を平準化できる
循環機能
温風・涼風の取り入れ時以外、循環機能をはたらかせることができます。この循環機能により、夏冬を問わず、家中の温度を平準化することができます。
ガラスのいらない集熱屋根

採熱板を利用することで集熱屋根のガラスを省くことができます。そのため施工やメンテナンスが非常に簡単・安全です。
※zeronext projectでは、《そよ風》のより高い効果を得るために、強化ガラス板を金属屋根に載せる計画で進行中です。
暖房・涼風・循環、
さらに、お湯採り・融雪ができる
《そよ風》は、暖房・涼風・循環の機能が標準で付いています。またオプションでお湯採り・融雪機能を設けることが可能です。



※OMソーラーとの比較で
《そよ風》の特徴を知りたい方は、
こちらをご覧下さい。(環境創機HP)


太陽光発電では、太陽エネルギーを電気という高度なエネルギーに変換した場合で、
元のエネルギーの10数パーセントしか利用できず、さらにその電気エネルギーを熱に
戻して利用する場合は、ほんのわずか数パーセントしか利用できていないのです。
大きなエネルギーロスと設備コストを考えても、よりシンプルなシステムで、
熱を熱として利用することのほうが
、明かに効率の良いことだとわかっていただける
のではないでしょうか。
さらに冒頭でも触れたように、自然に逆らわず共生するスタンスが産み出す
「空気の質」の違いが、私たちの暮らしにもたらしてくれるものは大きいと思うのです。


次回のテーマは、大きな「床下収納」です。
6畳間の下に広がる、押入れ3.5個分の収納の秘密に迫ります。
4月11日(土)の掲載予定ですので、ぜひお楽しみに。


 
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