Home Challenge of zero (6)暮らしの中の雨水利用

(6)暮らしの雨水利用/(6)暮らしの中の雨水利用


zeronext project の詳細をお伝えする連載シリーズ。
第6回目のテーマは、「暮らしの中の雨水利用」。

風や光、太陽熱など、自然と上手に付き合いながら暮らしの中に活かしていく住まいづくりが、zeronext projectの大きなテーマ。今回は、豊かに降り注ぐ「雨水」に着目し、トイレでの利用の取り組みについてご紹介していきます。
 

暮らしの中の“水”を知ろう
 
まずは、私たちの暮らしの中の“水”について、把握しておこう。左の円グラフは、家庭での水の使われ方を表したもの。お風呂や洗濯での利用が一番多いかと思いきや、なんと“トイレ”が最も多く、全体の28%を占めていることがわかる。トイレの水を1回流すのに、約10~15ℓの水が必要で、参考程度に、1ℓあたり0.24円※という目安の金額を当てはめると、1回あたり2.4円~3.6円ほどかかっていることになる。最近では節水型の優れた便器も多くなってきたが、それでも1回あたり約5~6ℓは流されているのだ。
水道料金は各自治体ごとに異なるためあくまでも参考程度
グラフはともに東京都水道局HPによるデータを参照
次に右の棒グラフでは、家庭で1人が1日に使う水の量が見て取れる。2005年には242ℓであり、その量は、ドラム缶(200ℓ)を軽く超えている。4人家族の場合、1日で968ℓ、1ヶ月で30,008ℓ、1年で353,320ℓとなり、ドラム缶1,766本、学校のプール(300㎥)1杯分以上の水量に相当する勢いだ。世界有数の豊かな降雨量があり、蛇口をひねればいくらでも水の出る環境に暮らす私たちにとっても、この数値は驚異であり、このままではいけないという事は、誰もが直感的に感じ得ることだと言えよう。

 雨水利用のシンプルな仕組み
zeronext projectにおける雨水利用の方法は、至ってシンプル。屋根に降り注ぐ雨が樋をつたって建物の四隅に設置したドラム缶へと貯まっていく。南側のドラム缶AとBは、庭木の散水用であり、1台の手動ポンプをドラム缶に抜き差しして汲み上げる。北東のドラム缶Cは1階トイレ、北西のドラム缶Dは2階のトイレ用で、それぞれお風呂ポンプと、電動ポンプを使用する。飲用や手洗いなどの使用はしないため、浄水機能は備えず、雨水をそのまんま流す計画だ。
(※手動ポンプメーカーHP)

ドラム缶の容量は200ℓであり、節水タイプ(6ℓ)の便器では、33回流せる計算となる。6人家族で暮らすこの家では、1日のトイレ使用回数が1人あたり6回と仮定すると、およそドラム缶1本分で1日あたりの使用量を雨水でまかなえることとなる。もちろん常に充分な雨水が貯まっているとは限らないため、水道水との切り替えを可能とした。また、2階にあるお風呂の残り湯は、洗濯に使うのはもちろんのこと、お風呂ポンプのホースをバルコニーへと伸ばし、雨樋の分岐パーツを経由してAのドラム缶へと貯水するという、至ってアナログな工夫も凝らした。 

シンプルでダイレクトな利用方法は、コスト面でのメリットも大きい。特に、世界的に見ても水道料金の安い日本では、多額の設置費用のかかる仕組みでは、その償却にはかなりの年数がかかってしまう。しかし、今回要した費用は、ドラム缶の謝礼お酒2本、2階トイレ用電動ポンプ1台、1階トイレ用お風呂ポンプ1台、手動ポンプ1台、それと配管工事などで合計14万円程度になる見込みだ。トイレ1ヶ所あたりでは、4~5万円程であろう。この程度の初期費用であれば充分元の取れる金額ではないだろうか。

 トイレでの雨水稼働率を検証
では、実際にどれだけ稼動するのかを検証してみよう。

2008年の仙台における月ごとの降水量をもとにする。ここで言う降水量とは、1㎡あたりの降雨量で、降雪は含まれていない。(※気象庁HP
まずは、降り注ぐ雨を受ける面積(屋根集水面積)を求め、1ヶ月でどれだけの雨水が貯水されるのかを算出する。集水面積は、建物を真上から見たときの屋根面の面積。集水段階におけるロスも考慮し集水率0.9を乗じた。また、今回貯水タンクとして採用しているドラム缶への換算表記も加えている。
次に、1日あたりトイレ2ヶ所で使用可能な雨水量を算出する。算出にあたっては1ヶ月を30.4日とした。
③で求めた雨水で、「エコ6タイプ(大を流すのに6ℓ使用)」のトイレを何回流せるかを算出。
最後に、1人が1日にトイレを6回使用する6人家族の場合の、雨水の稼働率を求めた。

その結果、4月・5月・6月・8月・9月・10月の6ヶ月間は、ほぼ雨水利用でまかなえそうであり、稼働率の上限を100%として算出した実質的な平均値は、63.4%であることが分かった。
もちろんこの数値は目安ではあるが、期待の持てる数字だと言えるだろう。
せっかくなので、この表の数値をもとに、コスト計算をしてみると、1年間を通して得られる雨量(トイレ以外の利用も含む)を、前述の水道料金の目安(0.24円/ℓ)を当てはめると、35,136円となる。えっ、そんなもん?と思ってしまうかもしれないが、確実な生活費の削減であり、ドラム缶732本分もの資源の有効活用であると言えよう。 

実際の稼動率に関しては、住まう子供たちの協力を得て、トイレのカレンダーに印をつけてもらうことで検証していきたいと考えている。
(トイレカレンダーで結果を検証予定)

日本は、世界でも有数の豊かな水資源国であり、水に関する技術の最先端国です。
過去において雨水との関係は、“活用”と言うよりは「治水」の歴史でした。
もちろん今でもそうしたことは行われ続けています。
しかしこれからは、この豊かな資源を個々の市民レベルでも積極的に活用していくことが
求められてくるでしょう。
それは、経済的な理由からばかりではなく、自然とともにある本来の暮らし方への回帰であり、
大きな前進でもあると言えるでしょう。
ちなみに、一般住宅の「雨水タンク」も、コンクリートやアスファルトで覆われた都市部では、
大雨時の河川への急激な流れ込みを和らげる防災機能もあるそうです。

シンプルな仕組みで、ダイレクトに利用する。
これが自然エネルギー・天然資源との上手な付き合い方のコツなのかもしれません。

 
01798137
建築工房零 お問い合わせ専用フリーコール0800-222-2015(8:00-18:00 水曜定休)