eps.21 猫と本と暮らす | 建築工房 零

eps.21 猫と本と暮らす

宮城県亘理郡山元町

ブルーが映える零の家へ

天気のよい盛夏の昼下がり。近くの公園では、子どもたちが水浴びを楽しむ声が響き渡る。

亘理郡山元町にある新興住宅街の家々の中でも、ひときわ目を引く、ブルーの外壁のS様邸にお邪魔した。
家に入ると、トトト…と軽い足音が出迎えてくれる。 2歳の猫のムーちゃんだ。ブリティッシュショ ートヘアの青みがかったグレーの毛並みと、太めのしっぽが特徴的だ。
お邪魔したとたん、足元にスツとすり寄ってくる。「お客さんが来ると、おりこうさんになるんだよね」と、奥さんがお茶目につぶやく。室内を彩るカラフルなガーランドや、テレビから流れる邦楽ロックが気分を高揚させてくれた。

2000冊以上の本が誘う さあ、夢の世界へ

「二人とも本や漫画が大好きで!理想は家を図書館みたいにすること」

Sさんの家づくりは、まずは展示場めぐりから。

見学を重ねる中で、当初は選択肢に入っていなかった ‘‘自然素材"の家にも興味をもち、零の家の見学会に参加した。 印象に残っているのは、玄関での「スリッパはございません」という掲示。冬でも靴下越しに伝わる無垢床の肌触りと暖かさに惹かれた。
Sさんの家には、実に2000冊以上の本が点在している。

本だらけの2階は、奥さんいわく、サンクチュアリ。「二人とも本や漫画が大好きで!理想は家を図書館みたいにすること」と夢見心地な表情を浮かべる。建築後も、二人で零の家の見学会に行っては、「あの感じで本棚をつくりたい!」と伝え、どんどん家の中が充実していった。何も並んでいない棚に本が埋まっていくことが、何より嬉しいという。

愛猫ムーとのまったり暮らし

愛猫のムーちゃんが家族になったのは、ほぼ2年前。

前々から猫を飼いたがっていた奥さんに対して、ご主人は床の傷つきを心配して乗り気ではなかったそうだが、ムーちゃんに出会うと「運命を感じました」とふたリ口を揃える。
そんなムーちゃんはいつでも欲求に正直だ。暑い日は土間で寝そべり、冬は洗濯物が一番乾くというスキップフロアに陣取る。

「涼しい場所を探すのが上手で、最近は空気集熱式ソーラーシステム “そよ風”の吹き出し口でもよく寝てますね」と笑う。 階段や土間、小上がりのタタミスペース、スキップフロアからロフトなど、ムーちゃんにとってこの家は遊びたい放題だ。
取材したこの日、広々としたウッドデッキから室内に戻る際、ムーちゃんが外にピューツと脱走してしまった。

「ムーちゃん!」と叫んだ瞬間裸足で追いかける奥さん。無事捕獲し、家に戻ったが、「走っているときは夢中で気づかなかったけど、砂利って痛いですね」と奥さん苦笑い。ほっとしたと同時に、皆で顔を見合わせ、くすっと笑ってしまった。ムーちゃんの機嫌取りに、お気に入りだというカーペットクリ ーナーで身体をコロコロ。ふてぶてしい表情のムーちゃんを眺めるSさん夫婦の目は、ひたすら優しい。

ずっと今が一番楽しい家にしていく

取材でお邪魔した翌週には、日本最大級の野外音楽フェスに参加予定。

「今からワクワクですよ~! お水沢山持っていかなきゃ」と、二人で表情を輝せる。家の中でも外でも楽しみ上手なSさんだ。

S様邸外観。青い外壁と赤い木製ベンチ、緑がまぶしい庭の木々。夏空に映えるすまい。

キッチンからは庭を一望できる。

ご主人が庭にテントを立てたときの写真。

キッチンは掃除のしやすさが一番

広いキッチンは、奥さまの要望のひとつ。掃除がしやすいようにホーローのキッチンを選び、調味料棚を造作した。「使い勝手が良くて、楽ですよ~」とニコリ。

一緒に暮らすからこそプライバシーを大切に

家の希望は広がり間取りでありつつも、トイレの音漏れなど、きちんとプライバシーも守られること。

設計担当に伝えると、生活空間からできるだけ遠くに配置する、仕切り戸の木材を厚くするなど、シンプルな間取りは生かしたまま、工夫を凝らした。「伝えることに真摯に対応してもらえたのが嬉しかった」と話す。

階段から上がるとあらゆるところに本、本、本。

奥さんが読書しながら入浴する習慣がある、と設計担当に伝えると、お風呂の手前の壁にも本棚が。

後から製作した本棚は、いずれ子どもが生まれたら個室に区切れるように、どこにでも置ける高さに調節した。

人懐っこいムーちゃん。人が居る場所にすり寄ってくる。名前のムーは、奥さんが好きなオカルト雑誌「ムー」から取ったのだそう。

キッチン脇、タタミスペース、階段の中腹、2階のフリースペース。あらゆるところにムーちゃんのおもちゃと居場所がある。贅沢づかいだなあ。

少し照れ屋なご主人の趣味は、カメラと外遊び、そして、DIY。新居の庭は、ご主人のDIYが満載だ。黒く塗装した物置、お父さんと作ったバイク小屋。出し入れしやすいようにアプローチづくりまで、自分たちに合わせてカスタマイズしていった。やりたいことが沢山反映できて、好きがどんどん増していく家。Sさんは、そんな零の家を楽しみ尽くしてくれている。

鎌倉の家具屋で購入した椅子や、雰囲気のある食器棚はアンティークもの。

蛇篭(じゃかご)で目隠しをする玄関。鉄線で編んだ長いカゴに砕石を詰め込んだもので、河川の護岸や斜面の補強などによく使われる。「ここにツタをたくさん這わせたいんです」とご主人。

DATA

宮城県亘理郡山元町/木造一戸建て/S様邸

撮影・取材:2019年8月


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