庭と外構 | 建築工房 零

01設計と間取り庭と外構

庭は「もうひとつのリビング」

「庭なんていらない、手入れが大変だし……」
最近、そう考える方が増えています。しかし、家の中にいるのが好きなインドア派の方こそ、実は「庭」が重要であることをご存知でしょうか。
建築工房零/アオバクラフトにとって、庭は単なる「余白」ではありません。
リビングに豊かな光を導き、心地よい温度を保ち、外からの視線を遮る。いわば「もうひとつのリビング」とも言える空間なのです。

庭の役割①:光と熱のコントローラー

①気持ちのいいリビング空間、目線の抜けを作る

②リビングの日当たりを確保する

①気持ちのいいリビング空間、目線の抜けを作る

「自然とのつながり」、「太陽とのつながり」から得られる豊かさを活かす場合、計画的に庭を設計します。

リビングにいるときに、大きい窓から目線が外に抜ける。枝葉の向こう側に広がる美しい風景。

周りから見られることはなく、落ち着ける。そんな心地のいいリビング空間を作るために庭は重要になります。

②リビングの日当たりを確保する

リビングの大きな窓から太陽の恩恵(日射取得)を最大限に受けるためには、隣家との間に適切な距離が必要です。この「距離」こそが庭の正体です。

住宅密集地で建築する場合、隣家により日影ができ、日当たりが悪くなってしまう場合があります。

太陽の光をたくさん取り入れるために、南側の窓を隣の建物から離す必要があります。

敷地の中で隣家からの距離をとるため、庭は南側に作ることを基本としています。

敷地内の庭をきちんと設計することで、リビングの日当たりを確保することができます。

 

冬: 太陽の熱を家の中まで導くための「光・熱の通り道」

夏: 照り返しを防ぎ、涼しい風を呼び込む「自然のエアコン」
また、窓の前に落葉樹を植えれば、夏は葉が日陰をつくり、冬は葉が落ちて光を通す。庭は、電気を使わずに暮らしを快適にする「究極の省エネ装置」なのです。

設計のコツ:オープンにしすぎず、「閉じる」ことで得られる豊かさ

【レースのカーテンがいらない暮らし】

開放的なリビングをつくるために、私たちは「閉じる設計」を行います。「開くために閉じる」が鉄則です。
どれほど立派な庭があっても、通りがかりの人や配達の人と目が合うようでは、レースのカーテンを閉め切るしかありません。

動線の分離: 玄関へのアプローチ(他人の目線)と、リビング前の庭(家族の空間)を明確に分ける。

視線の制御: 板塀や常緑樹を効果的に配置し、外からは見えず、中からは開放感がある状態をつくる。
「見られない安心感」があるからこそ、カーテンを開け放ち、心からくつろげるリビングが実現するのです。

板塀

コンクリート

生垣

植栽のテクニック:自然を「再現」する知恵

①ナチュラルな目隠し

②太陽の制御

③外観を豊かに

①ナチュラルな目隠し

生垣による目隠しを目的とする場合、基本的に常緑樹を使用します。

常緑樹は冬でも葉っぱが落ちないため、1年通して生垣の役割を果たしてくれます。

数種類の常緑樹を植え、樹形を活かした選定をすることでナチュラルな雰囲気にすることができます。

 

②太陽の制御

落葉樹は窓の近くに植えることにより、常緑樹とはまた違う役割を果たしてくれます。

夏に葉っぱを茂らせ、冬に葉っぱを落とす落葉樹。

そのため、夏には日陰ができてリビングに日が入りにくくなり、冬には家の中にしっかり日が入ります。

季節の特性を活かしてくれるのが落葉樹です。

 

③外観を豊かに

家の外観の良さは、家のかっこよさより庭のかっこよさが重要です。

植栽を美しくデザインし植えることで、豊かな外観にすることができます。

庭木を植えるテクニック

三角形に植える

庭を正面から見た場合

自然の風景には「直線」が存在しません。
庭木を一直線に並べてしまうと、どうしても人工的な印象(生垣感)が強くなってしまいます。そこで、真上から見たときに「不等辺三角形」を描くように、あえてまばらに配置します。

これにより、視線に奥行きが生まれ、わずか数メートルの空間でも「森の中にいるような」豊かな広がりを感じることができるようになります。

庭を真上から見た場合

真上から見た場合も同じで、まっすぐ一直線に並べて植えると、人工的で堅い雰囲気になりやすくなります。

自然な姿を楽しみたい場合、庭木を三角形にあえてまばらに植えていくと奥行が生まれてナチュラルな雰囲気にすることができます。

家の外観を美しく見せるのは、建物そのもののデザイン以上に、そこにある「緑」の力です。
「庭は後回しでいい」と考える会社も多いですが、私たちは庭をはじめとする外部空間から家を設計します。

窓から見える1本の木、そこから差し込む光、そして家族のプライバシー。これらを一体で考えることで、365日、季節の移ろいを感じながら、エネルギーに頼りすぎない豊かな暮らしが始まります。

下草におすすめの植物

庭木の根元部分の雑草対策には、下草を使います。

自分で選んだ草をあらかじめ張っておくことで、雑草が生える隙間を与えないようにします。

 

玉竜(タマリュウ)

姫岩垂草(ヒメイワダレソウ)

韮(ニラ)

植栽におすすめの樹種

①コハウチワカエデ

新緑も紅葉も美しい樹種です。葉に丸みがあるため、優しい雰囲気のお庭になります。ローメンテナンスの点もおすすめポイントです。

②アオダモ

樹形が綺麗。成長が遅いため、管理も手間いらずのため、共働き・忙しい家族にこそおすすめです。シンボルツリーにもおすすめです。

 

【庭の重要性を深掘りする3つのコラム】

1. 科学で考える:コンクリートの照り返し vs 土と緑の「自然のエアコン」

庭をすべてコンクリートで固めてしまうと、夏場の表面温度は 50℃〜60℃ にも達し、その熱が窓から家の中へと流れ込みます。一方で、土や植物がある庭は、植物が根から吸い上げた水を葉から蒸散させる「気化熱」の働きにより、周囲の温度を劇的に下げてくれます。

「庭を整えること」は、見た目の美しさだけでなく、夏のエアコン代を抑え、家全体の空気環境を心地よく整えるための最も合理的な省エネ投資なのです。

2. 設計の失敗例:玄関アプローチで「目が合う」気まずさ
せっかくの開放的なリビングも、設計の配慮が足りないと「落ち着かない場所」になってしまいます。
例えば、道路から玄関へのアプローチがリビングの窓のすぐ前を通る設計。郵便配達の方や回覧板を持ってきたご近所さんと、リビングでくつろぐお父さんの目がバッチリ合ってしまう……そんな「気まずい家」になっていませんか?
建築工房零/アオバクラフトの設計では、「他人の目線(動線)」「家族の風景(庭)」を明確に分離します。この境界線をしっかり引くことで、家の中でも外でも、お互いにストレスのない豊かな暮らしが守られるのです。

3. 共働き・忙しい家族にこそ:手入れが楽な「成長の遅い樹木」を選ぼう
「庭木は手入れが大変そう」と不安な方にこそ知ってほしいのが、樹種の選び方です。
この文章や、下の動画でもおすすめしている「アオダモ」や「コハウチワカエデ」は、成長がゆっくりなのが特徴。毎年バッサリと枝を切るような大掛かりな剪定が不要で、数年に一度整える程度で美しい姿を保てます。
「成長が遅い=今の美しい形が長く続く」ということ。忙しい共働き世帯でも、無理なく「緑のある暮らし」を愉しむことができる、賢い選択肢です。

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