壁の外付け配線 | 建築工房 零

04構造と基本性能壁の外付け配線

電気配線を埋め込まない零の家

私たちは家の壁の中に電気配線を埋め込みません。具体的には室内側に箱を作って、その中に電線を通します。つまり、家の「壁」にはコンセントはついていないんです。

 

コンセントやインターホンモニターがついている木の板の後ろに電気配線が隠されています。配線隠しといいます。

その箱からダクトレールと呼ばれる照明・コンセント用のレールを横にだして、照明器具をつけています。ON・OFFはリモコンで行います。

 

照明がついている木の箱が配線長押といいます。この箱の中を電気配線が通っていて、下部にダクトレールがついています。

エアコンやテレビなど、専用の配線が必要な箇所には設計段階で配線用の箱を計画します。

電気配線を壁に埋め込まない理由

 

家づくりをするとき、電気配線について考えることはあるでしょうか。

電気配線の耐用年数は30年といわれていて、電気配線の劣化は漏電につながり、火災の原因になります。

住まいの耐用年数は50年。

我々としては100年住んでほしい思いで家づくりをしています。

だからこそ、壁の中に30年しかもたない危険な電線を埋め込みたくないのです。

壁の中に電気配線を埋め込むと30年の配線の更新の時に、壁をはがす大工事も必要になります。

 

一方で、スイッチとコンセントの位置は、家が完成した時の後悔ポイントとしてよく上がります。

なぜなら、生活が予想できなかったり、変化していくためです。

生活も、家電も、様式も、道具も。

コンセントもスイッチも足りないと困ります。そのため、変化に対応できるようにと、コンセントやスイッチをたくさんつけようとしてしまうのです。1つの電球をつけるのに、2つも、3つも、スイッチをつけてしまうので、それだけ電気配線の長さも長くなります。実際、家の中の電気配線の長さは、20年前の3倍・4倍ほどになったといわれています。

「失敗はしたくない。」

そんな家づくりへの思いが、この現状を生んでしまっているのです。

 

今回は、電気配線を壁に埋め込まない良さを見ていきます。

その1 好きな位置にコンセントや照明を

ダクトレールは自分の好きな位置に照明やコンセントをつけることができるので、位置に悩むことがなくなります。

零の標準の仕様はスポットライトですが、住まわれてからお気に入りのペンダントライトに変更したり、新たに照明を増やしたりということが可能になります。

ダクトレール用のフックなども市販のものを取り付け出来るので、観葉植物などもぶら下げたり住まい手さんは色々な方法でこのレールを活用しています。

中にはスピーカーやプロジェクターを取り付ける住まい手さんもいらっしゃいます。

その2 劣化の危険性を減らす

外付けの電気配線は、電気配線の劣化による危険性を減らすことができます。

外付けの配線の場合、電気配線がどこにあるか一目でわかるため、30年後の更新時も板を一枚剥がすだけで簡単に新しい配線にすることができます。

この利点は将来的にリフォーム工事が必要になった場合でも活きてきます。

劣化し、危険になった電気配線を壁の中にそのままにすることがないため、安心して暮らすことができます。

その3 施工リスクを下げ、断熱性能を上げる

壁の中の構造に、気密層と呼ばれるものがあります。気密フィルム(ポリエチレンフィルム)は壁の中への湿気の流入を防ぎ、壁の中での結露を防ぎます。壁の中で結露を起こすと、断熱材を腐らせ住宅の寿命を縮めてしまいます。

電気配線を壁の中に通すことは、この気密層に影響を及ぼすことになります。

しっかりとした施工がされていれば問題はもちろんありませんが、

完成した住宅の壁の中の断熱材・気密層を、そう簡単にチェックすることはできません。壁の中に電気配線を埋め込まない施工方法は、万が一、のリスクを無くすことにもつながるのです。

職人さんは丁寧な手仕事で1棟1棟作り上げています。外付けの電気配線のメリットは、気密層に穴を開ける施工を必要最低限にできるところにあります。つまり、誰が施工しても施工精度が高い状態にできるということなのです。

今まで当たり前だと思われていた壁の中の電気配線も、外付けの電気配線というステージへステップアップしてもいいのではないでしょうか。

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