02パッシブ+小エネ(省エネ)パッシブファーストのあたたかさ

私たちが欲しいのは、断熱性能の数値が良い家?「暖かい家」?
今の家づくりは「Ua値」や「断熱性能等級」といった数値が注目され、それが住まいを選ぶ判断軸になっていることがしばしばあります。もちろん、断熱はとても大事な要素です。
しかし、SNSをはじめ、違和感を感じることもあります。それは、本来「暖かい暮らし」のための手段だったはずの断熱が、いつの間にか「目的」にすり替わっているのではないか、という違和感です。
極端な例ですが、窓が一つもない箱のような家を想像してみてください。
熱が逃げる場所(窓などの開口部)がないため、熱の逃げにくさを表す断熱スペック(Ua値)は驚くほど良くなりますが、その家は本当に「暖かい」と言えると思いますか?
窓が一つもない家は、冬の太陽光(日射取得)を全く取り込めないため、年間の暖房費に換算するとかえって高くなってしまう=暖かいとは言えないケースが多々あるんです。
一方、窓がある家は、窓から逃げる熱もあれど、日中に自然に入ってくる熱もあるわけです。
窓が適切な設計であれば、確実に出ていくエネルギーよりも入ってくるエネルギーが上回ります。
私たちは、「断熱性能の数値が良い家」ではなく、「少ないエネルギーで暖かい家」を、数値の先にある設計で見つめています。
パッシブファーストとは「暮らしの体幹」を鍛えること
「断熱性能の数値が良い家」と、「少ないエネルギーで暖かい家」。
どちらも暖かく過ごせる家ですが、その「暖め方」には大きな違いがあります。
それは、機械が活躍する家か、太陽が先に活躍する家か、という違いです。
『パッシブ』とは、受け身の、消極的な、という意味があるのに対して
『アクティブ』とは、能動的な、積極的なという意味があります。
最新の太陽光パネルや高効率エアコン、床暖房を搭載する「アクティブ」な家づくり。それも一つの正解ですが、私たちはその前に、建築そのものに工夫を凝らす「パッシブファースト」な家づくりを提案します。
つまり、わたしたちが得意とする太陽に素直な設計です。
太陽エネルギーを活用するには、建築地や敷地条件をよく理解し、その上で窓をキチンと設計することが大切だと、わたしたちは考えています。
例えるなら、健康のために「薬」に頼る前に、まず「日々の食事や運動」を見直すようなもの。
機械設備はいずれ壊れますが、太陽の角度を計算し尽くした軒の出や、風を通す間取りといった「建築の知恵・設計哲学」は、何十年経っても壊れることなく、家族の暮らしを支え続けます。
仙台の太陽は、最高の「天然ストーブ」
わたしたちの拠点は、宮城県仙台市です。
仙台は、実は全国平均よりも冬の日照量が多い地域。この恩恵を無視して「閉じた家」を建てるのは、あまりにもったいないことです。
南面に設けた大きな窓は、冬場、1000Wの電気ストーブと同じ熱量を家の中へ運び込んでくれます。
一方で、夏は深い軒や落葉樹でその熱をカットする。この「仙台向きのパッシブ設計」こそが、機械に頼り切らない、身軽で豊かな「小エネ」の暮らしを叶えるのです。

太陽の設計で日射熱をきちんと入れると、無暖房でも室温が20度を超えることもあります。(冬季)
(写真は「太陽と棲む建築士の自邸」外気温8度・室温27.8度・無暖房)

このように、科学的な視点から窓の設計は、結果的に省エネにもつながるので大切だということがわかります。
だから、日射取得を考えていない、窓の小さい家や窓のない家、つまり「閉じた家づくり」は仙台の特徴である太陽の恩恵が少なくなると言えます。
仙台市は、夏の日射量は全国的には少ないと言われています。しかし、窓は熱が逃げていく部分であると同時に、太陽の熱が入ってくる部分でもあります。太陽というストーブを使いながらエアコンで室内を冷やすということにならないよう、庇代わりのバルコニーや深い軒の出など、窓の外から陽射を遮る工夫が必要になります。
すだれやシェードなど、外から窓を覆う工夫も有効ですが、外とのつながりが分断されてしまいます。せっかくの気持ちのよい空間にならなくなってしまう可能性もあるので、わたしたちは南面に落葉樹を植える設計をします。

・夏の日射を防ぐ工夫
・自然風を利用し、いかに家の中に風を通すかを工夫
・自然光を利用し、家の中に暗い空間を作らない工夫
・太陽のエネルギーを家の中に積極的に取り入れていく工夫
これらがパッシブ設計でできる工夫ですが、さらに、家には断熱も大切です。
断熱はすればするほど暖かくなりますが、建築コストも上がってしまいます。
断熱性能の数値を上げるには窓を小さく、そして少なくしたほうが良いですが、入ってくる日射量が少なくなるため、光熱費は上がってしまいます。
わたしたちは、断熱性能の”数値が良い家”ではなく、暖かい家が欲しいはず。
暖かければ暖房は使わないので、光熱費の削減にもつながります。
住み心地や快適さを考えるとき、性能だけにとらわれず、断熱性能の数値が多少下がったとしても、光熱費が下がる省エネな家がパッシブデザインです。
設備は最小限に。豊かさは最大限に。
建築の「足腰」を強くすることで、エアコンなどの設備容量を小さく抑えることができます。
余計なメンテナンス費用や電気代に追われることなく、家族が健やかに、そして安心して暮らせる場所。
「数値」を追うだけの家づくりを卒業して、自然と対話し、心から「あたたかい」と感じる暮らしを、私たちと一緒にデザインしませんか。
パッシブファーストをさらに詳しく勉強したい方は、webカタログや動画をご覧ください