02パッシブ+小エネパッシブファーストのあたたかさ パッシブとは、受け身の、消極的な、という意味があるのに対して、アクティブとは能動的な、積極的なという意味があります。 家づくりにおけるパッシブデザインとは、無料の太陽エネルギーを最大限に活用し、快適で質の高い室内環境を実現しつつ、省エネ、エコなどを考えていく家本体の設計、家全体の工夫によるものを意味します。 つまり、わたしたちが得意とする太陽に素直な設計です。 太陽エネルギーを活用するには、建築地や敷地条件をよく理解し、その上で窓をキチンと設計することが大切だと、わたしたちは考えています。 窓を小さくして壁を多くした家と、南面の窓を大きくしたパッシブ設計の家、どちらも同じ断熱性能の設計だとすると、何が違うでしょうか? この違いは、無暖房の時にはっきりとわかります。 窓の小さな家は日射取得量が少ないのでひやっとしますが、窓の大きな家は日射取得量が多いので暖かいです。 太陽の設計で日射熱をきちんと入れると、無暖房でも室温が真冬でも20度を超えることもあります。 (写真は「太陽と棲む建築士の自邸」外気温8度・室温27.8度・無暖房) わたしたちの拠点は、宮城県仙台市です。 この地域は、冬は全国平均より日照量が高く夏は日照量は低いです。 このように、科学的な視点から窓の設計は、結果的に省エネにもつながるので大切だということがわかります。 なので、日射取得を考えていない、窓の小さい家や窓のない家、つまり「閉じた家づくり」は仙台の特徴である太陽の恩恵が少なくなると言えます。 掃出し窓1つから得られる太陽エネルギーは、1000Wの電気ストーブ1台を3時間使ったのと同じくらいの熱量になるので、わたしたちは窓はストーブと考えています。 仙台市は、夏の日射量は全国的には少ないと言われていますが、窓は熱が逃げていく部分であると同時に、太陽の熱が入ってくる部分でもあるわけですから、ストーブを使いながらエアコンで室内を冷やすということにならないよう、庇代わりのバルコニーや深い軒の出など、窓の外から陽射を遮る工夫が必要になります。 すだれやシェードなど、外から窓を覆う工夫も有効ですが、外とのつながりが分断されて、せっかくの気持ちのよい空間にならなくなってしまう可能性もあるので、わたしたちは南面に落葉樹を植える設計をします。 ・夏の日射を防ぐ工夫 ・自然風を利用し、いかに家の中に風を通すかを工夫 ・自然光を利用し、家の中に暗い空間を作らない工夫 ・太陽のエネルギーを家の中に積極的に取り入れていく工夫 これらがパッシブ設計でできる工夫ですが、さらに、家には断熱も大切です。 断熱はすればするほど暖かくなりますが、建築コストも上がってしまいます。 断熱性能の数値を上げるには窓を小さく、そしてなくしたほうがいいのですが、入ってくる日射量が少なくなるので光熱費は上がってしまいます。 わたしたちは、断熱性能がいい家ではなく、暖かい家が欲しいはず。 暖かければ暖房は使わないので、光熱費の削減にもつながります。 住み心地や快適さを考えたときに、断熱性能だけがよければいいわけではなく、断熱性能の数値は多少下がったとしても、光熱費が下がる省エネな家がパッシブデザインです。 それとは反対の考え方が、エアコンや太陽光パネルなどの設備や機器などによって対応する設計です。 家づくりは、地域に根差した設計士が地域の家をデザインするということが最もパッシブで省エネで快適なんだと思います。 暮らしは一時的ではなく、何十年も続くわけですから、エアコンなどの設備や機器などに頼りすぎず、ずっと健やかに、安全に、そして安心して暮らせる家づくりをわたしたちはこれからも続けます。 BACK