01設計と間取り子ども室の設計 子ども室は、間取りの中で最も時間的変化が大きく予想される空間です。 成長・受験・独立・結婚・同居・世代交代・・・・・ その変化に対応できる設計も、耐久性(耐用性)の一つだと考えます。 また、子供室の設計は子供の成長に大きな影響を及ぼします。 ある教育大学の調査によると、感性を評価するテストで高得点をとった子供たちは茶の間(リビング)で勉強する傾向があったそうです。身近な大人との会話がどれだけ重要だと言うことでしょう。 また、家づくりの打ち合わせ中に、ある親御さんから頂いた言葉が非常に印象的でした。 「個室でだれにも邪魔されない集中できる環境で勉強させたい気持ちもわかるけど、大人になったらそんな環境で仕事なんて出来ないよ。そんな環境でしか集中できない大人には・・・」 もともと、人生で本当に大事な勉強は、個室の中ではなく、開かれた会話の中にあるような気がします。 一つの提案。 あえて子ども室を作らないのはどうでしょうか? 子どものスペースはつくります。しかし、個室としてスペースを区切ることはその空間を限定してしまいます。 先述のように、大きな変化を受け入れなければなりません。 例として零の建築事例を一つ挙げます。 子どものスペースはあえて仕切らずに大きな空間としています。収納は、共有ホールに共同の納戸を設けました。その共有ホールには造り付けのカウンターを設け、パソコン、お絵かき、宿題など、様々なシチュエーションに対応します。 ①~幼少期 子どもが小さいうちは、大人の目の届く距離である一階のリビングで遊び、夜は両親と一緒に寝るケースが多いでしょう。 オモチャや歩行器など、どうしても子どものための道具は大きくかさばり、そして多いですよね。 そういったものを置くスペースに利用することもできます。 ②~小学校低学年 きょうだいでプライベートの空間を使うにはまだ早いかもしれない時期。大きな空間に二段ベッド、またはシングルベッドを並べて寝るのはどうでしょう。勉強は家族みんながいるリビングか、共有ホールのカウンターで。 入口の建具は常に開けたまま暮らせば、どこに家族がいてもつながって暮らすことができます。 ③小学校高学年~中高生 子供の成長が進み、「個」を意識しだします。また、男女間では「性」も気になりだす頃かもしれません。 間仕切り家具やタンス、本棚などで空間をゆるやかに仕切り、それぞれの空間をつくることで、プライベートの空間にも出来ます。 大きな空間は建具、あるいは壁を造作して仕切る(取り外し可能)。 ベッドだけでなく、勉強机やある程度の収納もその中に必要となる可能性も出てきます。(もちろん共用の納戸がメインの収納) 入口の建具は閉めていることが多くなるかもしれませんね。 ④進学等で家を離れ、独立 お子さんが独立し、盆・正月の帰省に帰ってくるくらいのペースになったとしても、その時に寝るスペースは必要ですね。 子の間は、そうした可変性の高いスペースになっていきます。 例えば、子どもが結婚し、同居するかもしれません。 そのうち子どもを授かることになれば、3世代での暮らしが始まります。 そうして、ぐるぐるとサイクルを繰り返します。 34坪の家の中で、単世代から3世代同居までの生活の変化に十分対応でき、 そうした家は、耐用性に優れた住まいだと思うのです。 BACK