庭・植栽の考え方 | 建築工房 零

05快適性と毎日の愉び庭・植栽の考え方

以前に新築させて頂いた、すまい手Aさんからお聞きしたお話です。

 

~Aさん宅は、隣地との境を背の高い木々と薪棚で仕切っています。「最初は薪の調達に不安があったけど、薪ストーブユーザーが集うイベント『焚人カフェ』に参加して、薪ストーブにしようと話がまとまりました」と話してくれました。今では、薪ストーブが冬の一番の楽しみなのだそうです。また、「冬が終わっても、春は庭いじりができるから楽しみが続くことに気づきました!」とご夫婦は口を揃えます。はじめは乗り気ではなかった植栽も、必要性を理解し、担当者からも熱く口説かれ、最終的には計画より多く植えることに。「庭いじりし始めると熱中しちゃって!お庭があって本当に良かったです」と奥さまが話してくれました。~

確かに薪ストーブは、薪を準備しストーブにくべることが必要ですし、煙突からは若干の煙も出ます。灰の処理や煙突の掃除なんかも避けることは出来ません。それは、庭に緑を植えることにも通じる所があり、雑草取りや落ち葉の掃除など、手間やご近所さんへの気遣いは多少なりとも必要かと。ご飯も食べるし、散歩も必要、ウンチだってしちゃう、ワンちゃんを飼う感覚と似ているような気もします。

 

では、なぜ、薪ストーブを採用し、緑を植え、犬を飼うのか。ここでは、それらを代表して植栽の話をしてみたいと思います。

まずは、Aさんの話にあった“植栽の必要性”とは何でしょうか。思いつくまま、いくつか書き出してみましょう。

①建物がカッコよく美しく映える

②通りや隣家から室内へ向けられる目線をさりげなく遮ってくれる

③室内からの通りや隣家への目線をさりげなく遮ってくれる

④室内から見える景色を気持ちよく豊かにしてくれる

⑤季節の移ろいを傍で感じることもできる

⑥夏の涼しさを運んでくれる

⑦そのお陰もあって、お庭も室内も気持ちよく開放的に楽しむことができる

⑧手入れをすることで、どんどんよくなる

⑨それでまたどんどん楽しくなる

⑩ご近所さんとのコミュニケーションもうまれ

⑪街並みも豊かになっていく

⑫地球温暖化の抑制にもつながる

肯定論ばかりでごめんなさい。もちろん、植栽を植えることだけでこれらがすべて成立してするのではなく、外部ゾーニングと外構全体のプラン、建物のデザインや、間取りと窓の計画など、家づくり全体のコンセプトと計画が合ってこそ、相乗効果をうみ、高いレベルで成立させていると言えるのです。

零の家づくりに根付いているのは「手の中にある人の暮らし」です。Aさんの場合、薪ストーブや植栽から、そんな、“当たり前なのだけど新しい“暮らしの充実感を、見つけられたのでしょう。

 

「家は小さくても庭を大きく」とか、「予算はないけどぜひ植えたい」とか、「正直、全部舗装しちゃいたい」とか、いろんな考え方があると思います。もちろん〇〇じゃなきゃダメと言うつもりはありません。でも、零では、それぞれのご家族にとって最適化を図りながらも、プラスもう1本の植樹を、きっと穏やかに、そして熱くお勧めすることでしょう。それほど、大事なことだから。(笑)

 

最後に、夏の日差しを遮って涼しさを運んでくれた植栽は、冬に日陰をつくっちゃたりしないの?という疑問もありますが、そんな場所には「落葉樹」を選びます。一括りに植栽とまとめてきましたが、実は、その先がとっても奥深くて面白い。

 

建築と自然を設計者の技術で活かす、それも家づくりの醍醐味です。(文・菊地史朗)

植栽におすすめの樹種

①コハウチワカエデ

新緑も紅葉も美しい樹種です。葉に丸みがあるため、優しい雰囲気のお庭になります。ローメンテナンスの点もおすすめポイントです。

②アオダモ

樹形が綺麗。成長が遅いため、管理も手間いらずです。シンボルツリーにもおすすめです。

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