06地域工務店としての志未来・次世代への責任 次世代への責任 2005年7月、株式会社建築工房零は「脱・浪費型社会」「脱・化石燃料」を掲げ起業しました。その想いは、3.11震災・原発事故、全国で多発している豪雨や台風の被害を目の当たりにするたびに強さを増しています。私たちは、どんな素材を選び、どんなエネルギーを使うのか。その一つ一つの選択が、未来をつくっているのだということを知っています。そして、そのことに対して、大人として、プロとして、やり甲斐と責任を持ちたいのです。 今を最大限に楽しみながら、次世代に対して胸を張る。そんな、暮らしと地域・社会を目指しています。 未来・次世代への責任 ―― 「暮らしを取り戻す」という自立の選択 昨今のウクライナ情勢や、それに伴うエネルギー価格の高騰、そして木材供給の混乱を招いたウッドショック。これら一連の出来事は、私たちの日常がいかに脆い土台の上に立っているかを冷徹に突きつけました。 日本のエネルギー自給率はわずか6%に過ぎません。食料も、そして住まいを造る資材も、その多くを海外という「外側のシステム」に依存しています。他国で起きた紛争や物流の停滞に、私たちの生活がこれほどまでに左右されてしまう。この現状を前に、私たちは今一度、立ち止まって考える必要があります。 真の安心とは、誰かに与えられるものではなく、自分たちの手の中に手繰り寄せるものではないでしょうか。 「依存」から「自立」へのシフト かつて訪れたオーストリアやドイツの人々は、単なる環境保護のために自然エネルギーを選択しているわけではありませんでした。彼らにとってのエネルギー自給は、他国に首根っこを掴まれないための「国家安全保障」であり、自分たちの暮らしを守るための切実な自衛手段でした。 ひるがえって、私たちはどうでしょうか。 「太陽の子供たち」として、日の本(ひのもと)という名を冠する国に住みながら、その恩恵を十分に活かしきれているとは言えません。 次世代への責任を語るとき、私たちが選ぶべき道は明確です。それは、エネルギーを、そして日々の暮らしを「自分たちの手の中」に取り戻すことです。最新のテクノロジーを盲信するのではなく、まずはエネルギーを浪費しない住まいを整えること。そして、降り注ぐ太陽や地域の資源を賢く使い、外部への依存度を少しずつ下げていくこと。この「自立への歩み」こそが、不確実な未来を生きる子供たちへ贈ることができる、最大の資産になると私は確信しています。 「零」という社名の由来 私たちの社名・グループ名にも入っている「零(ゼロ)」という言葉には、不必要なものを削ぎ落とし、本質を見つめ直すという決意を込めています。 物質的な豊かさを追い求めた結果、私たちは多くのものを手に入れました。しかし、各部屋にテレビがあり、家族が別々の場所で同じ映像を見ている風景が、かつての一家一台の時代より何倍も幸せだと言い切れるでしょうか。便利さや快適さは、時に、私たちが本来持っていた「暮らしを愉しむ力」を奪ってしまったのかもしれません。 家で料理を作り、薪ストーブの炎を眺め、庭に四季の移ろいを感じる。外にある華やかなレジャーに依存せずとも、日々の営みの中にこそ、深い充足は眠っています。こうした「暮らしの本質」を次世代に繋いでいくことは、決して過去への逆行ではありません。むしろ、これからの成熟社会における、最も先進的な生き方ではないでしょうか。 暮らしを、私たちの手に 断熱性能を高めることも、耐震性を追求することも、すべては「手段」に過ぎません。その目的はただ一つ、何が起きても揺るがない、安心できる暮らしの器を次世代に渡すことです。 未来を憂うのではなく、まずは自分たちの足元を固める。 大きなシステムに身を委ねるのではなく、自らの手で「暮らしを取り戻す」。 この主体的な選択の積み重ねが、次世代が誇れる社会を築く礎になると信じています。 BACK