eps.1 家族の時をため込んだ、築8年の大屋根の家を訪ねて | 建築工房 零

eps.1 家族の時をため込んだ、築8年の大屋根の家を訪ねて

宮城県白石市

家族の時をため込んだ 築8年の大屋根を訪ねて

前々日からの雪が残る1月に、築8年の大屋根のすまいを訪ねる。日曜ということもあり、ご家族全員で迎えてくれた。「雪の日もいいですね。」「そう。庭も片づけてないまんまだったから、雪で隠れて助かった」。そんな飾らない会話が嬉しい。室内に入ると、そこは穏やかで暖かな空気に充ちていた。薪ストーブの中に熾火(おきび)はあるものの、それだけじゃないな、そう思った。ご主人は、格子の窓辺に腰を下ろし、奥さんは、通り土間の台所で、さっそくお茶を入れてくれた。

繋がること。 光、風、こころ

新築当時のことや、子育て話に花が咲く。テーブルを挟み向かい合うご主人。そしてカウンター越しの奥さんと繋がるやわらかな視線が心地よい。この家もまた、横に、縦に、斜めに、空間が広がっており、光や風、そして心までをも通わせてくれているようだ。南の窓からは深い軒の出をかいくぐってきた冬の陽射しが、やさしく降り注いでいた。

伸びやかに、あなたらしく 大きくなあれ

奥さん曰く「真逆の性格」だ という兄弟は、今11歳と6歳。新築当時、下の子は生まれてもいなかったのだ。すまい手さんのお子さんの成長には、いつも驚かされてしまう。そしてお腹の中がじんわりとあたたまるように嬉しくなってしまう。吹抜け階段を昇りきり、2階の共有ホールの先に見えるのが、二人の子ども達のスペース。今は開けっ放しのことが多い2枚の引き戸は、いつかそれぞれの部屋の専用扉となり、一つだった空間は、造作の本棚や簡易的な壁で仕切られることで、二つの部屋に姿を変える。そんな日が訪れることも、なんだか愛おしい。

素朴で機能的な台所。役割を持った道具たちが、自分の出番を心待ちにしているよう

2階共有ホールにあるL型カウンター。今は奥さんのミシンスペースに

庭の木々も家族で毎年植えたもの。

玄関から繋がる通り土間は、納戸、台所を経て、勝手口、そして庭へと抜ける。プロパンガスの手づくりの囲いは、“ボンベを隠すこと”を目的にしているのではなく、ご家族の“おもいやり”のようなものなのかもしれない。

キッチン越しの母親のまなざし

階段下から大屋根の空間をのぞむ

寒い冬も、暑い夏も、薪運びは子ども達の仕事。そこには”エアコンのスイッチ”や”灯油運び”にはない豊かさがある。薪ストーブはそんな日常の中に、暮らしの根っこを育んでくれているのかもしれない。

DATA

敷地面積:150.97坪(500.09㎡)
延床面積:35.06坪(116.13㎡)
構  造:手刻みによる木組み
設  計:小野幸助(建築工房零代表取締役社長・一級建築士)
所  在:宮城県白石市


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