eps.9 丘の上でともに暮らす | 建築工房 零

eps.9 丘の上でともに暮らす

太白区鹿野本町

ガレージのある家に集うライダー達

1年で最も緑が映える季節に、零のすまいで開催された2つの“集い”にお邪魔した。 1つは、バイクガレージのあるK様邸で開催されたバイクミーティングだ。すまい手さん、零の職人さんたちの総勢7台のバイクが集合した。

 

カワサキ、ヤマハ、ホンダ、ハーレーと、それぞれの愛車の話、これまでのバイク人生の思い出話に花が咲く。「ほとんどカスタムしていなくても、カッコいいでしょ」「阿蘇のミルクロードを走るのが夢だなあ」「車検切れで見るだけのバイクがたくさんあってさ」「愛車を肴にしてお酒を飲んでいるよ」…ほぼ全員初対面でありながら、話は切れ間なく続き、バイク好き同士交流を深めた。

バイクミーティングの会場になった黒川郡大郷町のKさんのすまい。田舎暮らしがしたいと家づくりをはじめ、木組みの大屋根のすまいが完成した。自慢のガレージには、夫婦のバイクと子ども達の自転車が並ぶ。

“バイク好き”という点で共感しあえる関係性の参加者たち。

“バイク好き”という点で共感しあえる関係性の参加者たち。

もう1つは、太白区に建ち並ぶ零の家で行われた「丘の上ミーティング&BBQパーティー」だ。現在3家族が暮らすその場所は、1棟ごとのコンセプトに基づき建築・販売された“提案型住宅”。ここは、外観や庭の植栽、通りからの見え方といった“街並みづくり”と、そこで暮らすご家族の緩やかなコミュニティをもデザインしたすまい群なのである。

向こう三軒両隣 豊かなつながり

「今まで集合住宅にしか住んでこなかったから、家の中に階段があって、庭まである暮らしは初めて。庭の手入れも楽しみなんです」と顔をほころばせたOさん。Eさんは、「生後10ヵ月の我が子がつかまり立ちするとき、足の指がよく動くんです。無垢の木の感触を楽しんでいるんじゃないかな」と話してくれた。もう1組のOさんは、「越してから10回以上もデッキでBBQしたんですよ!キャンプに行かずとも家で楽しめるから、出不精になったかも」と、それぞれの暮らしを楽しんでいる様子を教えてくれた。

BBQパーティーでは、火の番や料理の取り分けに勤しむお父さん方、談笑が止まらないお母さん方、ウッドデッキに寝転がり、入り混じって遊んでいる子どもたち。それぞれが自然体で過ごすその姿がなんだか懐かしく、愛おしく感じた。

 

緩やかにつながるコミュニティ

今や、インターネットやSNSを通じて、簡単に世界中の人や情報とつながることのできる時代。わからないことはすべてグーグル検索が教えてくれるし、AIもすぐ当たり前になるだろう。その便利さを享受しながらも、足元の見えないような不安を感じていた私だが、目の前の3家族を見ていて、不思議とその不安が少しだけ晴れていくような気がした。それは、顔が見え、息づかいを感じることのできる安心感。みんなが自然体で思い思いに過ごす姿は、決して自己中心の身勝手な行動ではない。他者の尊重と思いやりの上に成り立っている。かつて井戸端で交わされていた人と人との繋がりが、ここでは、ウッドデッキや緑の庭を介して行われていくのかもしれない。  親戚でも、友人でもない、言ってみれば単なるお隣さん同士。しかしながら、日々の暮らしの積み重ねの中で、少しずつ築かれていく、緩やかで確かなコミュニティがそこにはある。私たちの家づくりが目指したいものが、また一つ増えた気がした。

子どもたちよのびのび育て

急坂の中腹に建つ3棟。子どもたちはその急な坂を上り下りして通学している。雪が降って凍った日は、スキーウェアを着てお尻で滑っていくのだそう。「暮らし始めたときは心配していた坂も、住めばそこまで苦じゃないと思えた」とOさん奥さまが話してくれた。

生まれて10ヵ月のIちゃん。とりわけ小2のKちゃんと小4のKちゃんが気にかけていた。それぞれ家族の中では末っ子でも、Iちゃんにとっては大きなお姉さんだもんね。BBQ中はお母さん方でだっこ当番を回し、みんなが食べられるようにしてくれた。そんな心遣いがうれしい。

DATA

所  在 / 太白区鹿野本町

竣  工 / 2017年3月

構  造 / そら・かぜ・つち

在来工法 /:伝統工法・木組み

延床面積 / そら:26.50坪 かぜ:29.23坪 つち:23.75坪


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