断熱は太陽と一緒に考えて欲しい。 | 建築工房 零
小野幸助ブログ
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断熱は太陽と一緒に考えて欲しい。

オノコウスケ
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お疲れ様です。疲れてないけど。

オノです。ヒゲメガネです。

今朝の仙台は−6度まで下がりましたね。やっと冬らしいというか。

また嫌らしいこと言いますが、今朝の我が家の室温は17.7度でした。

昨日のfacebookやInstagramでもUPしたけど、日中は無暖房で22度を超えてました。

*追記・本日(2/7)も家に寄ったら26.7度(笑)

10年前に新築した当時より内窓をつけたりしたのでだいぶ断熱性能は上がってますが、
実は断熱性能だけではここまではなりません。

断熱性能はちょっと前はQ値、最近はUa値で表現します。
それぞれ低い方が断熱性能が高いです。
我が家のUa値は0.4ちょっとくらいで、実は(それほどは)超高断熱ではありません。

 

Ua値を低く(断熱性能を高く)するには、いくら高性能になっても窓よりも壁の断熱材の方が断熱性能が高いので
窓を極限まで少なくして壁にすればUa値は低くなります。

しかし、南向きの窓は計算すると(窓の性能にもよるが)昼の日射取得が窓から逃げる熱量を上回ります。

なので、たとえ断熱性能が低くなろうとも南向きの窓が多い方が、

断熱性能は下がるが、『暖かさは上がります。』

さらに屋根に空気集熱「そよ風」をつけているので、その効果も重なります。

数年前から「パッシブハウス」という言葉が住宅業界を席巻しています。
太陽のエネルギーを受け身的に利用していく家のことだと私は認識しています。

私もパッシブハウスを勉強しにドイツに行ったり他県の建物を見まくったりして勉強しまくりました。

ところがパッシブハウス先進国と言われるドイツも、そのドイツに酔狂する日本の技術者や建物もほとんどが
パッシブハウスではなくただの「超高断熱」でした。窓は少なくとにかく断熱材を厚くすることだけに一所懸命というか。
さらにドイツと日本の、あるいはドイツの中でも日本の中でも気候風土がもちろん違うのですが、
軒や庇は皆無。夏の日射遮蔽(しゃへい)はほぼ配慮されておらず、夏はエアコンありきがほとんどでした。

先述したとおり窓から入ってくる太陽のエネルギーはとても大きく、
大きな掃き出し窓一つで小さな石油ファンヒーター一つ炊き続けているのと同じくらいのエネルギーです。
夏の日射遮蔽を配慮しなければ、夏はファンヒーターを数台焚きながらクーラーをガンガン回しているようなモノで、
冬は暖房器具を焚かなくても太陽のファンヒーターが温め続けてくれる。そんな事だと思います。

*高性能のLOW-Eガラスは時には大切な冬の日射取得を外にはじき返してしまうこともあります。

もちろん中には本物(だと思う)パッシブハウスもありましたが、本当の一部でしかなく、かなり違和感を感じていました。
そういう意味では新住協の方達は数年前から本物のパッシブハウスを追い求めているフロントランナーが多いなー、と感じ、
去年から入会し勉強させていただいています。すごい人が多いですね。
新住協のQPEXというシュミレーションソフトだけが日射取得も計算できますね。(他にもあるのかな。。。)

ちなみに断熱は数値以上の効果があります。

人間が寒い暑いを感じるのは空気の温度(気温)だというのは一般常識ですが、
実はそれだけではなく、気温と輻射熱の影響の二つで感じています。
その二つの影響はほとんど同じくらいです。

断熱が強化されると、室温が例えば20度でキープされるエネルギーが少なくなるのはもちろんです。
しかし、断熱がしっかりとしていなくて壁や床が冷たく、そこからの冷輻射の影響が10度くらいだとしましょう。
そうすると、室温は30度くらいないと、体感で20度に感じないわけです。
空気の温度は高いのに底冷えがする。そんな感じですね。
断熱がしっかりとしていて壁も床も20度なら、気温は20度で十分に体感温度20度に感じるわけです。

つまり、断熱がしっかりしていると、暖房機器の設定温度を下げられるんですね。
その分もエネルギーコストは下がります。

温熱シュミレーションソフトはほとんどが一定の室温(気温)を維持するためのエネルギー量やコストを弾き出すモノなので、
実際にはシュミレーションソフトの値よりも大きくエネルギー量とコストは下がります。
もっと大きいのは輻射熱が上がる、冷輻射がない快適性ですね。コストに換算できない。

床断熱や薪ストーブが快適なのは輻射熱ですよね。

夏の暑い日には窓をあけて風を通しているなら断熱は関係ないかというと、
太陽の熱でいくら熱せられても断熱材が効いて屋根や壁が熱くならないと、
同じ室温、外気と同じ気温でも木陰のように涼しくなり、エアコンを使う日が少なくなるでしょう。

数年前からサッシはサーモスXを標準とし、基礎はスタイロフォーム100ミリ、天井は高性能グラスウール200ミリに変えてから零の家はかなり快適になりました。

しかし、Ua値などの性能値が目的にならないように、
本来の目的を見失わないで家づくりを広めていきたいと思っています。

そのために大手メーカーにも負けないくらい、家づくりで本当に大切ことを皆さんに知ってもらうことが大切だと思っています。
ラジオ番組や家づくりセミナー「すまいの設計塾」を数年続けているのはそのためです。

*ここまで断熱を語りましたが、次回の「すまいの設計塾」は広がり間取りです(笑)
皆様ぜひ。

おしまい。

その他のよみもの

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