進化・深化・真化する規格住宅 | 建築工房 零
ぜろだよりコラム選
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進化・深化・真化する規格住宅

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ぜろだよりコラム選

皆さん、突然ですが、VUCA(ブーカ)※という言葉をご存じですか?端的に言うと、「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」のこと。今の時代のことだ!と私は思えてなりません。そんな先行き不透明な状況で、35年のローンを組んで家づくりをすることは、幼い頃に思い描いていた甘い幸せの形というより、むしろ思い切った、チャレンジングな選択なのかもしれません。そんな時代だからこそ、「賃貸や中古住宅ではなく新築戸建を」と思ったとき、なにが必要で、なにが必要じゃないか。それを、とことん考え抜いて、余計なものをそぎ落としにそぎ落とした住まいをつくろうと考えました。そうして生まれたのが【素地家(ソジエ)】です。

「素地(そじ)」の名のとおり、床は構造用合板、壁も石膏ボードを張っただけの仕上げ、住宅設備は必要最低限。キャッチコピーは、「いまどき、フル装備?」住まいに絶対的に必要な耐震性や断熱性は十分に確保しつつ、36坪の住まいを2,000万円の本体価格で実現しました。それでいて、レイアウトやインテリアコーデは無限大。いわば、「新築リノベーション」といったところでしょう。
もともと、伝統構法・木組みの家が100%だった零。時代やニーズに合わせてアプローチは変えつつも、根っこはひとつも変わらず、心も身体も健やかな暮らしを一人でも多くの人に送ってもらえるよう、日々暮らしづくりを続けてきました。次頁では、その道のりを少しだけご紹介します。

「注文住宅」。わたしたちが一番多く設計・施工してきた家づくりの形です。そこに住まう「すまい手さん」がどんな暮らしがしたいのかを丁寧にヒアリングし、土地に合わせて1棟1棟プランを描く。零では創業からこれまでの16年間で、350棟以上の注文住宅を手掛けてきました。伝統構法の注文住宅から、最新の規格住宅へと連なる零の家の系譜を少しご紹介します。
零では注文住宅があくまで主流ではあるものの、その中で「提案型住宅」というスタイルを5年ほど前から手掛けはじめました。自社で仕入れた土地に、先に建築するという、いわゆる「建売」型です。土地だけの状態ではクセが強く、売れず低価格になっている”ヘタ土地”。そのクセを設計の力で魅力に変え、体感できるように建ててしまう。そうした住宅は、これまでに8棟にのぼります。これは、数多くの注文住宅を設計してきた経験と知恵によって身に付いた私たちの財産であり、提供できる価値になりました。

また、この長年の家づくりをもとに、零の家の普遍の「型」をパッケージにできないかと考えました。零の家に共通する“ 太陽の設計” や“ 広がり間取り”、 誰にでも愛されるシンプルな“ デザイン”。もちろん、安心安全な“ 耐震性” や“ 断熱性”。国産無垢木材と、漆喰や珪藻土といった”自然素材”の家づくり。そして“価格”。これらの要素を練り上げ、ひとつの完成形として落とし込んだのが、規格住宅
「ZEROBACO(ゼロバコ)」です。言ってしまえば、無駄の無い“最適化”された住まいの形。誰にとっても、どの土地にとっても、ベストバランスな住まいだと言えます。


さらに、ローコストで高気密・高断熱の家づくりを続けてきた姉妹会社アオバクラフトのプロジェクトへの合流により、規格住宅はもうひとつの価値を生み出します。それが、「素地家」です。ベストバランスなゼロバコに対して、この「素地家」は、あえて極端にバランスを欠くことによって、新しいジャンルを確立。今まで見たことのないような暮らしのシーンが、ひとつ、またひとつと、広がりをみせています。消費動向への迎合ではなく、社会課題や、未来からの欲望に対して、家づくりで応えていく。そんな想いが、これまでの零の家を形づくってきたのです。

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