
「瑕疵」についてのガイドライン④
こんにちは。ゼロノワ不動産こと不動産事業部の高山です。
今日は「瑕疵」についての最終回。(過去記事、その①・その②・その③リンクからどうぞ!)
瑕疵とは何ぞや、というおさらいから、ガイドライン策定の背景。
また、不動産取引における「人の死」に関する調査について、提示された「一定の考え方」について見てきましたね。
「宅建業者が『ここまで行っていれば調査義務を果たしたことになる』というところはわかったけど、実際に取引の際にその内容はどこまで告知されるものなの?」
第二回の記事でも触れましたが、「どんな「死」も告知しなければ・・・」という考え方は、時に住宅弱者の不利益につながる可能性が高くなります。
このことにメスを入れたのが、ガイドライン後半の「告知について」の部分であり、ここでは明確に「告げなくてよい場合」が示されました。
①対象不動産において、自然死又は日常生活の中での不慮の死が発生した場合
老衰や病死、また室内での転倒などによる不慮の事故に関しては、「そのような死が生ずることは当然に予想される」ため、賃貸でも売買でも相手方に告げる必要はない、とされました。
ただし、昨今の報道でも見聞きするように、①のようないわば自然な死においても、長期間発見されなかったことにより通常のハウスクリーニングでは原状回復ができず、特別な消臭や消毒、清掃(いわゆる特殊清掃)が入るケースもあります。
そこでガイドラインでは
②賃貸取引の場合、①以外の死が発生又は特殊清掃等が行われることとなった①の死が発覚して、その後概ね3年が経過した場合
には、借主に告げなくてもよい、とされました。
この場合は賃貸に限るということと、逆に言えば3年以内であれば告げる必要があるということに注意が必要です。また、事件性や社会的影響を考えた時に「3年経過しているが告げるほうが良いだろう」という判断もあるということが示されました。
③対象不動産の隣接住戸又は借主若しくは買主が日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分において①以外の死が発生した場合又は①の死が発生して特殊清掃等が行われた場合
これらについては、賃貸・売買どちらも原則として告げなくてよいこととされました。
マンション等の集合住宅に関して、例えば借りたいor購入したい部屋には瑕疵はないのだけれどもお隣のお部屋で①以外の死が発生した・・・というようなケースです。
ここまで見てきた①~③について、原則として「告げなくてよい」と定義づけられました。
つまりそれ以外のケースは原則として「告げる必要がある」と解されます。(ガイドラインでは「取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、買主・借主に対してこれを告げなければならない」と表現していますが、実務的にはおそらく「重要な影響を及ぼすもの」として取り扱うことになるでしょう)
まとめてみましょう!

今回このガイドラインが策定されたことは、私たち宅建業者にとって調査や告知の範囲が明確になったことはもちろん、住宅弱者の住宅確保に関する課題解決の一助ともなり得るものだと思います。
また、不動産を所有している貸主さん、いわゆる大家さんの中には宅建業者ではなく一般の方もたくさんいらっしゃいます。一定の考え方が示されたことにより、新たな入居者募集の際に大家さんたちが必要以上に頭を悩ませることも減るかもしれません。
また、借りたい・買いたい方にとっても、ルールが明確になったことで不届きな宅建業者が調査や告知に関して義務違反をしづらくなったことは安心につながります。
「こうしたルールに基づいて宅建業者や売主・貸主は調査や告知をしているのだな」と知ることができ、後日のトラブル防止にもなるかもしれません。
ガイドラインの結びでは、「現時点で妥当と考えられる一般的な基準であり、将来においては、本ガイドラインで示した基準が妥当しなくなる可能性も想定される」としたうえで、
・人の死が生じた建物が取り壊された場合
・搬送先の病院で死亡した場合
・転落により死亡した場合における落下開始地点の取扱い
などを今回対象に含めることのできなかった事例として挙げ、理由として「一般的に妥当と整理できるだけの裁判例や不動産取引の実務の蓄積がない」と述べています。
今後も判例や社会情勢等の変化に応じた見直しがなされるということですから、法改正などとあわせてチェックしていく必要があります。
「人の死」という、決して明るくないテーマではありましたが、「住」というのは「人」あってこそ。
そこには必ず、「生死」があります。
そうしたことから目を背けるのではなく、社会全体で考え続けていくことが何より重要なのだと再認識しました。
おまけ
寄り添う猫たち。優しい気持ちになりますね。

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