古民家ゲストハウス『アゼミチタベネル』 | 建築工房 零
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古民家ゲストハウス『アゼミチタベネル』

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2024年春。

とあるプロジェクトが発足しました。

 

仙台市青葉区芋沢で、建屋付きの土地を購入。

そこは、道路面の他三方を田んぼに囲まれ、南側には田園風景の先に山並みを望む、ロケーションの良さが魅力の場所でした。

 

活かしやすい間取りかつ建物の傷みも少ない”いい状態”で残っていた既存建屋をリノベーションしよう。

すまい手さんのみならず、様々な方に暮らしを体感してもらえる「ゲストハウス」を新規事業として展開していこう、という方針が定まり、1年掛かりの「青葉区芋沢ゲストハウスプロジェクト」が始まったのです。

仙台西部の風土に根ざし、まちの営みを残す。

もともとは更地にして販売する分譲地の候補として紹介を受けた建屋付きの土地でしたが、

 

『ここなら、既存の建物を活かしてリノベーションする方がより良い場所づくりができる!』

 

と思い計画がスタートしました。

 

大事にしたコンセプトは、ゼロクラフトグループの設計哲学のひとつの「外と中が気持ちよくつながる」豊かさの体現。

もともとの縁側空間はリビング空間の延長に使い、サッシを大きな引き違い窓に交換することで、内と外がシームレスにつながる心地よさを味わえます。

 

古民家の構造を活かしているため、天井が低いことも特徴のひとつ。高身長の方は鴨居に頭がぶつかりそうになるなど、不便さを感じる部分はありますが、一方で、椅子ではなく床に座るときに心地よい目線の高さになる、といった「座」の良さを体感いただけます。

 

この『アゼミチタベネル』という名前には、ここで過ごす時間自体を豊かにしたい、という思いを込めています。

 

サウナや焚き火、BBQなどはオールシーズン。

冬の季節は、備え付けの薪ストーブで暖をとる愉しみ。

この場所で「遊んで」「食べて」「寝て」と、まったりお過ごしいただく。

 

レジャーに外出する際の「いち宿泊施設」として以上に、ここでの宿泊自体が目的になるような、そんな場所になればと思っています。

建築中、近所の農家の方から、ご自身が作ったサヤエンドウなどの農作物を「食べてほしいから」という声とともに差し入れしていただきました。

 

「この地域には、農業をはじめ、和装やお習字など、一芸をお持ちの方がたくさん居る。

その方たちに〝先生〟になっていただき、それを発揮する場があり、宿泊したゲストの方との交流の機会をつくることができれば、どちらにも喜んでいただけるのではないか。」

 

そんな思いから、青葉区芋沢地域の担い手を中心とした、田植えや稲刈りなどの農業体験や、和装やお習字といった、さまざまな体験を季節ごとにご案内することになりました。

 

また、この『アゼミチタベネル』は、空き家活用の事例でもあります。

 

ますます空き家が増えることは地域の課題。

懐かしさを覚える、のどかな田園風景を眺める窓があるゲストハウスは、その地域らしさを残しながら、新たな人の動きを生んで賑わいをつくることにつながる。

 

土地や建物のポテンシャルを活かして建築を通して価値づけすることが、地域の工務店としてできることの一つであり、リノベーションの魅力でもあると思っています。
自然と人とのつながりがもたらす豊かさを、ぜひ現地でご体感ください。

アゼミチタベネルでの時間が、健やかで、あたたかく、よろこびに溢れるものでありますように。

基本料金 : 75,000円(税込)(清掃費含む)
※1棟貸切、寝室は4部屋です。
※料金は、曜日・時期・人数によって変動します。

アクセス:宮城県仙台市青葉区芋沢原田浦2-2
駐車場無料・5台以上駐車可能
チェックイン  15:00
チェックアウト 10:00

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